最近Switchのモノポリーを遊んで思ったこと

最近ニンテンドーSwitchでモノポリーを遊ぶようになった。

 昔からある定番ボードゲームモノポリー(MONOPOLY)だが、テレビゲームに移植されると非常に低レベルな移植が行われることが多い。

プレイステーション(1)のモノポリーはプレイヤー人数が4人に制限されており、モノポリーにおいて一番面白いと言われる5、6人でプレイすることが出来なかった。

CPUの思考ルーチンが弱すぎて一人で遊ぶとほぼ負けることはないし、人間が集まって遊ぶにしても4人制限の為に本来の面白さは感じられなかった。

Windows向けではそこそこまともなモノポリーが存在していたがOSのバージョンに依存するので昔購入したものはすでに今の環境では動かないだろう。そもそもWindowsを使うことも無くなった。

Wiiのモノポリーも酷い出来だったと記憶しているが、既に詳細を覚えていない。Wii U専用のモノポリーは出なかったと思う。

Swtichのモノポリーはどうかというと、かなりまともな方だと言える。

プレイヤー人数は6人まで選べるし、操作性も悪くない。

CPUの思考ルーチンは人間に遠く及ばないが、まぁ人間がメインで足りない人数をCPUで埋める程度には役に立つ。

Switchのモノポリーを購入したのは結構前だが、最近になってよく遊ぶようになった。

遊んでいて思うことは、やはりモノポリーは面白いなという事。

ちょっと前からSwitchの桃太郎電鉄も遊んでいたのだけど、これとはぜんぜん質の違う面白さである。

モノポリーの自分の意志で進む方向を変えることなど出来ない強制的に右回りに進み続けるだけのボードには明確な怖さがある。

また、そのサイコロの目次第に思える展開は、運任せの人生ゲームのようなゲームだと勘違いしてしまう人もいるが、モノポリーの醍醐味は運よりも大きく勝敗に影響する交渉にある。

状況を見極めて誰と交渉し土地を揃えるのかという部分にモノポリーのゲームとしての面白さが凝縮している。

一方、私はモノポリーについて長らく決して良いゲームバランスではないという印象を持っていた。

例えば水道会社と電力会社は収入が少なすぎて手に入れてもほとんど役に立たない。他の物件との収益力に差がありすぎる。

通常の物件でも高級な緑と最も安価な茶色はそれぞれ違う理由で勝利から遠い。

茶色は収益力が低すぎるのとスタート地点のGOから止まる確率も低いので安い上に止まる人が少なく、序盤で偶然揃えるという事がない限り揃えてもメリットが少ない。

緑は高額すぎて揃えても家をなかなか建てられない。モノポリーでは家を3軒以上建てると急激に収益が増えるようになっているが緑は一軒200も費用がかかるので3軒ずつ建てるのは難しい。

しかも緑の位置は「刑務所へ」の直後にあるので一定の確率で他のプレイヤーが刑務所に進んでしまうから止まる確率は低い。

この茶色と緑を除いた6色はそれぞれに魅力があるので、モノポリーのプレイ人数が5または6人が面白い理由にここも関係しているのだろう。

このような構成ではあるが、プレイヤーがそれを知った上でそれぞれの価値を理解し交渉する際に有利不利を考えつつ金額のバランスを取ることでモノポリーのゲームバランスは保たれている、と、そう思っていた。

けど、最近モノポリーのボードを見ていると絶妙だなぁと思った事がある。

7の位置

モノポリーは右回りに進み続けるすごろくタイプのボードゲームではあるが、特別な場所が2つある。
スタート地点であるGOと刑務所である。
刑務所はゾロ目が三回連続で出た場合や「刑務所へ」のマスに止まったとき、加えてチャンスカード、共同基金カードで刑務所が出た場合に刑務所に進む。
スタート地点GOはチャンスカードと共同基金カードにGOのマスへ進むがある。
この2つの地点は通常の移動を断ち切ってその場所に進むので、その場所より先にある土地は他の土地より高確率でプレイヤーが訪れることになる。
「GOに進む」からの恩恵を受けるのは水色、紫、オレンジ、赤、黄色
「刑務所へ」からの恩恵を受けるのはオレンジ、赤、黄色
刑務所の方が発生確率の高いイベントとなるので、そこからの恩恵があるオレンジ、赤、黄色は特に訪問率が高いと言える。
それはともかくとして、ここでボードをよく見るとGOから7マス目と刑務所から7マス目を見るとどちらも家を建てることが出来ない場所になっている。
GOから7マス目はチャンスカードマスである。
刑務所から7マス目は共同基金カードマスである。
つまり高額の支払いが発生しない事になる。(カードによって酷いカードが出る可能性はある)
モノポリーはサイコロを2つ振って駒を進めるゲームなので確率的には7が一番出やすい。
2つのサイコロは36通りあるが、1と6、6と1、2と5、5と2、3と4、4と3の6通りある7は6分の1の確率で出ることになる。
これが実に絶妙にハラハラ・ドキドキさせるバランス調整となっている。
GOからサイコロを振るといかにも水色に止まりそうであり、実際止まる事が多いのだが、最も出やすい目である7は水色ではないので、ピンチを間一髪で切り抜けるというドラマが結構多く見られるようになっているのである。
同様に刑務所から出てくるとオレンジに止まる確率がとても高いが、7が共同基金なので水色同様にギリギリですり抜けて逃げていくという場面を見ることもよくある。
こうした、勝てるという想定や、まずいという想定をうまく裏切るようにモノポリーのマス目は計算されて構成されているのである。
刑務所からサイコロを振った場合の確率を計算するとこの様になる。
無料駐車場103/368.33%
ニューヨーク通り94/3611.11%
テネシー通り85/3613.89%
共同基金76/3616.67%
セントジェームスプレース65/3613.89%
ペンシルバニア鉄道54/3611.11%
バージニア通り43/368.33%
ステーツ通り32/365.56%
電力会社21/362.78%
セントチャールズプレース10/360.00%
刑務所
オレンジ三マスの合計確率は確かに高いが、それ故に共同基金に逃れた時のドラマ性は高くなる。

鉄道は?

上の2つとは別に四箇所ある鉄道に進むカードがチャンスカードに存在する。
「次の鉄道まで進む」が2枚と「リーディング鉄道まで進む」が1枚である。
それぞの鉄道から7マス目を見ると、電力会社、チャンス、ノースキャロライナ(緑)、共同基金となっている。
一箇所を除いて通常の土地ではない。電力会社は収益力が低いのでチャンス、共同基金マスと同様に逃げ場所となっている。
そして残る一つは緑、何故緑と青の通りだけが鉄道から7マス目が家を建てられる土地なのか?
他の通りより通過率が低い緑と青の通りを救済しているのではないかという推測が成り立つ。
やはり、鉄道からの7マス目も計算されている事がわかる。
では、公共会社はどうか?
水道会社か電力会社に進むというカードもあるが、これは1枚しかないので影響力は低い。
一応確認すると水道会社から7はショートライン鉄道、電力会社から7はニューヨーク通り(オレンジ)、これは凄い大きな支出になるので鉄道会社のような配慮がない事がわかる。

まとめ

モノポリーのボードは実に細かく計算されて作られている。
交渉がゲームの要である事は変わらないが、ボードの配置は7マス目にとても配慮したものとなっており、強制右回転のシステムと合わさってドラマを生む。

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